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・迎人術(げいにんじゅつ) |
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迎人とは敵を迎え撃つの意であるが、具体的に言うと、
敵が攻め寄せて釆たら、敵の宿営ま
で出向いて忍びこもうというもの。 |
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・妖者術(ばけものじゅつ) |
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妖者術というのは、変装してある身分、
職業の者になり切ってしまう術のことである。
妖けるとも化けるともいう。
今日の国語で言う「ばける」とは少し意味を違えて使っている。 |
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・参差術(かたたがえじゅつ) |
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参差とは、本来、大小とか高低のことであるが、
忍術のひとつとしての参差術は、敵城への出入り術をあらわす。
変次賤卒、一連離行の術と言って、雑兵に変装したり、
一連の隊列に紛れこんだりして城門に自由に出入りすること。 |
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・速歩法(はやあるきほう) |
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速歩法とは忍者特有の走り方。
蟹の横這いのごとく、]字形に横に歩む方法。普通の前方への
歩法三に対し五に相当するから、
一夜に三十里を歩くことができるという。 |
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・暗夜敵歩察知法(あんやてきあるきさっちほう) |
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忍術書の伝えるところによれば、地面に這って耳を当てると
前方三町くらいの敵の歩行する音を聞くことができるという。 |
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・大竹箆仕置法(だいしっぺいしおきほう) |
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忍家撃退法の一種。敵の忍者が忍んできたとき、
罠を仕掛けて強烈な「しっペ」を打とうという仕掛け。罠は大竹を使って作る。 |
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・縄張畳立ての仕置法(なわばりたたみだてのしおきほう) |
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敵忍者の侵入を察知するか、防ぐためにする忍家撃退予防法のひとつ。
細い縄を張っておく。 |
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・釣押仕置法(つりおさえしおきほう) |
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敵忍者が忍びこんでくる戸の鴨居の上に
石とか臼とか重い物を釣り上げて作る仕掛け。
戸を開けて踏みこんだとたんに仕掛けが外れるように作る。 |
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・座さがしの法(ざさがしのほう) |
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暗闇の室内で敵と出合うことを考え、刀鞘を半分抜き、
刀身につきかけて突き出し、室内をさぐる。
鞘に触れるものがあった瞬間、刀を手元に引いて鞘を落とし、
そのまま突き出す。
この刀術を「座さがしの法」と言う。 |
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・常の足(つねのあし) |
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忍者が使う特有の足の運びを「正忍記」では足並み十カ条と言っているが、
常の足とはそれ以外のふつうの歩き方。 |
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・横走り(よこばしり) |
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横走りというのは、白刃を構えたまま、横に走る方法をいう。
忍者にとってはあらゆる走り方ができることが基本。 |
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・斜め走り(ななめばしり) |
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忍者特有の走法。胸の前で両手を交差させて
両手を左右に開ける力で地を蹴ってはずみをつけて
走るというより跳ぶ感じで足る。 |
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・跳躍術(ちょうやくじゅつ) |
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成長の早い麻の上を跳んで訓練する。
跳び六法として高跳び六尺(1.8メートル)、
幅跳び十二尺(3.6メートル)、左右、九尺(1.7メートル)、
後ろへ九尺、飛び降り四十尺(12メートル)を自由に跳ぶという忍者の基本。
戸隠流では、拳として体のすべてを使うが、
足を拳として用いるものを足躍という。 |
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・三点保持法(さんてんほじほう) |
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狭い廊下や、部屋の隅をよじ登るには、二本の腕と一本の足
で体重を支えて登ってゆかねばならない。
この技を三点保持法という。 |
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・整息法(せいそくほう) |
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忍者にも入門試験に類することが行われた。
整息法というのは、水を張った樽の中に首を突っこんでいかに
長く息を止めていられるかという基礎訓練。 |
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・吸心術(きゅうしんじゅつ) |
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吸心術というのは心を吸いとることを指すが、
内容的には擬声や擬音を発して敵を欺くことを言う。 |
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・霞扇子術(かすみせんすじゅつ) |
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扇子の紙の表裏を張り合わせる時、
その間に目潰しの粉を入れ、先端を張らないでおく。
敵にあおぎつけてきりきり舞いをさせる。 |
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・逢犬術(あわせいぬじゅつ) |
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犬は忍者たちにとつて味方にもしうるが、たいてい敵である。
この厄介な敵と出合ったらどうするかの術を総称して逢犬術という。 |
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・合犬の法(ごうけんのほう) |
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忍者の大敵、犬に対しては犬で応ずる。
相手方の犬が雌なら雄犬を連れてゆき、
雄なら雌犬をつれていく。すると人間の存在を忘れて吠えなくなる。 |
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・山伏兵法(やまぶしへいほう) |
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奈良時代、大陸から密教と『孫子の兵法』が伝わって
日本に大きな影響を与えた。古来の神道と混交により修験道が
始まり山伏兵法として発達した。 |
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・防忍の法(ぼうにんのほう) |
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忍びこみの方法を裏返せば防忍の法である。
防諜の法とは少し異なり、敵忍者の忍びこみを技術的に防ぐ方法を総称する。
忍家撃退予防法と同じ。 |
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・三不過の術(さんふかのじゅつ) |
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手裏剣とは本来防衛的に使用するものであるが、
練習を要するため、手引書が多く残されている。
削闘剣とか三不過の術というのは手裏剣の打ち方に関係しているが、
三不過の術が何を表すか定説はない。 |
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・残心(ざんしん) |
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手裏剣の打ち方の極意とされるものは、体勢、重心、弦ばなれ、
そして残心ということになっている。
残心というのは、力の抜き方、手の引き方のこと。 |
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・早寝刃の法(はやねたばのほう) |
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刀を研ぐのは刀剣研ぎ師にのみ任せるのではなく、
自分も小さな砥石を使って研ぐ。これを寝刃を合わせるという。
砥石がない時は木片や畳の裏や、
草履を使ってでも寝刃を合わせるのである。 |
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参考・引用文献
新人物往来社 【歴史読本スペシャル71 忍の達人 影の奥義書】
新人物往来社 【別冊歴史読本72 忍びの者 132人データファイル】
学習研究社 【歴史群像シリーズ71 忍者と忍術 闇に潜んだ異能者の虚と実】
講談社 【バジリスク甲賀忍法帖 忍術と忍者の謎】 |